PICCカテーテルとはPeripherally inserted central cathetersという比較的新しい処置の一つです。
中心静脈カテーテル留置の処置に準じる方法です。 極々簡単に言えば末梢静脈に挿入、そこから長いチューブを大きな静脈まで留置するという方法です。 元来の中心静脈カテーテル自体も血栓症や感染リスクがありますが、PICCカテーテルの血栓リスクについて調べたメタ解析の研究を初めて見たので記録しています。 64個の研究をメタ解析しています。 結果…… 従来のCVカテーテルと比較して、PICCカテーテルは深部静脈血栓症をオッズ比2.55(1.54-4.23)で発症しやすい しかし、肺塞栓症は発症していない 2.7%が深部静脈血栓症を発症 NNH(number needed to harm)は26 病態としては、細い血管にカテーテルを入れるから発症しやすい。しかし、小さい血栓で肺塞栓は発症しにくい。 というものなのか? 個人的にはPICCよりCVポートを利用することが多いですね。 長期間の治療でアクセスする静脈が減れば一つの手段として考えています。
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運動療法Loveなぱんないですが、最近腰が痛かったので、ヨガ系にしている今日この頃です。
幼稚園の運動会のせいだ……。 運動療法が糖尿病や高血圧症などの生活習慣病疾患にいいことは皆さんご存知の通りですが、 今回なんと!!クローン病にも効果があるという論文が出ています。 (毎度ですが2013年に読んだのをいまさら記事化。どんどんUpして追いつきますからね!!) Physical activity and risk of inflammatory bowel disease: prospective study from the Nurses’ Health Study cohorts http://www.bmj.com/content/347/bmj.f6633 https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24231178 この研究はコホートスタディで、アメリカの看護師さんが対象です。 元来炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎など)を持病とする人は除外しています。 運動量(MET)をアンケートで収集し、炎症性腸疾患の発病リスクと関連があるか解析しています。 結果、 身体活動が低い群と比較して、 身体活動が高い群はクローン病の発病リスクがハザード比0.64(0.44-0.94)と低下した 27MET/週の運動をすればリスクは44%低下した。 潰瘍性大腸炎のリスクは変化がなかった。 クローン病の原因はまだはっきりしないので、どうやって運動がクローン病に良い影響があるのかはまだ研究中ですが、 著者らは”身体活動がオートファジーを誘発する可能性があるという最近の観察は、身体活動とクローン病の危険との独特の関連を説明することができる”と言っている。 ふむ。。。(よ、良く分からないな) にしても、男性の結果も見てみたいことこの上ない。
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患者さんの着ている服がどんどん厚くなってきて、寒さを感じる今日この頃、僕はまだスクラブ一枚です。
さて、寒くなるとウイルス感染が徐々に増えて受診の数も増えてきています。 これまでも、気管支炎に対する抗生剤の投与は否定的なデータが多かったですが、 新しく?(大分前に読んでお蔵入りしていた)気管支炎に対する研究結果が出ていましたので紹介します。 Efficacy of anti-inflammatory or antibiotic treatment in patients with non-complicated acute bronchitis and discoloured sputum: randomised placebo controlled trial https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24097128 http://www.bmj.com/content/347/bmj.f5762 合併症を持たない、変色した喀痰(discolourとは色が抜けるという意味かと思いました)、咳嗽(一週間未満持続)、呼吸困難や狭窄音、胸部違和感、胸痛などの症状を持つプライマリケアを受診した患者さんが対象です。 介入は 1.イブプロフェン600mg 2.アモキシシリンクラブラン酸(オーグメンチンなど) 500mg/125mg 3.プラセボ の3つです。 評価は「咳嗽の持続する日数」です。 確かに咳を止めたい、早く咳を治したいという人は多いですからアウトカムとしてありがたいです。 結果 イブプロフェン 9日(8-10日) プラセボと比較したハザード比 1.03(0.78-1.35) アモキシシリンクラブラン酸 11日(10-12日) 同ハザード比 1.23(0.93-1.61) プラセボ 11日(8-14日) 副作用の発生率は イブプロフェン 5% アモキシシリンクラブラン酸 12%(p< 0.01) プラセボ 3% (プラセボ悪効果) と、言うことで、気管支炎に対する抗生剤の使用は(百?)害あって一利ないという結果になっています。 この結果は以前の論調を支持する結果であり、胸部レントゲンで肺炎像がないのであれば使用すべきではないですね。 レントゲンの結果を拡大解釈する気持ちも分かるのですが、経過観察する勇気と理解を得る努力を医師は持つ必要があります。 また、この論文で学ぶべきことは咳は現代医学では抑えることが出来にくいということでしょう。
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今回ご紹介するのは予防医学のジャンルで長生きする食べ物のご紹介です。
それは、、、ナッツ Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1307352#t=article 看護師さんと医療関係者?(医療のプロの訳がうまく思いつかない)を対象にしています。 ナッツを食べている頻度(週に何回)と食べない人とを比較しています。 結果 ナッツを毎日食べると2割くらい死亡率が下がります 女性 ハザード比 0.79(0.68-0.91) p<0.001 男性 ハザード比 0.80(0.73-0.88) p<0.001 ちなみに死因毎に解析していますが、 癌、心血管、心臓、呼吸器、感染症などには有意差が出ていますが、脳卒中、腎臓疾患には有意差がありません。 なぜ疾患によって有意差がでるのか?興味深いところです。 この結果を見れば、そこらへんの健康食品を食べるよりナッツ食べていたほうが確実に健康になれるような気がしています。 やすいし(笑)
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かなり前の研究ですが、かなり感情的にインパクトのある内容ですよね。
Women Who Smoke in Pregnancy Have Children with Morphometric Brain Anomalies 対象は6~8歳の子供たちです。 評価は頭部MRIでおこなっており、 A.妊娠中に喫煙していない母親の子供 B.妊娠中喫煙していた母親の子供 C.妊娠が分かって喫煙をやめた母親の子供 を比較しています。 アルコールの摂取量や母親の教育水準、社会経済的要因(収入や家族形態など)の交絡因子も調整してあります。 結果、、、 喫煙していた母親の子供は、喫煙していない母親の子供と比較して ・低体重(これは以前から多くの研究で示唆されていましたね) ・感情のスコアが悪く ・脳の容積が小さく ・灰白質*の容積が小さかった。 *極論でいえば灰白質=パソコンで言えばCPU、処理能力。白質=電線。 やはり妊娠中に喫煙は避けるにこしたことはないですね。 というか、妊娠中に喫煙は避けるべきことはみんな分かっていると思います。 妊娠してもやめられないんですよね。 それほどニコチン依存は強いものであると思います。 貴方の人生がニコチンに支配された人生にならないように祈っていますし、 きっと止める方法を探していけば止めることが出来ると信じています。
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